おなかの疾患で言えば “消化器内科” と “消化器外科”、心臓で言うと “循環器内科” と “心臓血管外科” みたいな違いになります。
世間一般には“神経科” “精神科” “精神神経科” “精神内科” “心療内科”・・・などなど似たような名前の専門科がありますが、これらはすべて精神疾患(心の病やストレス病など)を専門にしているのですが、これらの科と間違われることもしばしばです(^ ^;
大学によっては分かり易いように “脳神経内科” と表示してあるところもあります。
では、“神経内科” とは、どのような疾患をおもに専門に診ているの? と言いますと、“意識障害やアルツハイマー病などの認知症に伴う疾患” “けいれんやてんかん” “頭痛やめまい” “パーキンソン病や脊髄小脳変性症など” “話しにくい、ふらつきや歩行障害やふるえる疾患” “手足に力が入らない、感覚が麻痺している” “脳卒中(脳梗塞や脳出血など)” “ウイルスや最近感染に伴う髄膜炎や脳炎”などを専門として診察し、内科的な治療をおこないます。
皆さんが神経内科をご存じないのは、神経内科の専門医が少ないこと、専門医の居る医療機関が極端に少ないことなどもあるかもしれません。
今までは “脳や神経の病気は脳外科へ” と考える方がほとんどだったのではないでしょうか? でも脳の病気でもそうですが、手術する病気より、手術しないで治せる病気の方が圧倒的に多く、脳卒中などを治療する際にもご家族から“手術はしないんですか?”と聞かれることがありますが、今はほとんどが薬物治療(内科的治療)とリハビリテーションで対応することが多く、大きな脳出血やくも膜下出血以外は手術はしません。
したがって、神経内科医は脳神経外科医より幅広い疾患に対応することが必要とされ、その需要も非常に多いのですが、実際には脳外科医の半分程度しか神経内科の専門医がいないと言うのが現状です。県内でも何人いるでしょうか・・・
このような状況にもかかわらず、“脳神経系は難しい”と思われているのか、神経内科医になろう!っという学生さんも少ないのが、悲しい現実です(; ;)
●脳卒中(Stroke):最近では “Brain attack“ とも言われている、脳の救急疾患のひとつ。脳の血管が急に詰まる “脳梗塞” や、脳の血管が突然破れておこる “脳出血” 、下に示す “一過性脳虚血発作” や “くも膜下出血” などもこの中に含まれます。突然の言語障害や半身の麻痺や半身の感覚障害、歩行障害などが出現したら要注意です!心臓病や手足の血管の動脈硬化や狭窄(細くなる)を合併していることが多く、全身血管病!として治療が必要です。→緊急治療が必要!
●一過性脳虚血発作:脳梗塞の前兆。短時間(短くても数分から数十分、原則は24時間以内)の脳卒中の症状(上記)が出たら要注意です!→緊急治療が必要!
●ビンスワンガー病:俗に言う “脳軟化” 。歩行障害やふらつき、認知症や尿・便の不始末などが徐々に進行する。昔の“ボケ”と言ったら一番多かったものです。体質もありますが、高血圧の未治療や水分不足・運動不足で進行しやすいと言われています。
●無症候性脳梗塞:俗に言う“隠れ脳梗塞”。基本的には症状はないので、たまたま検査を受けた時に、古い脳梗塞が見つかった!ということがしばしばです。最近では、脳ドックなどで見つかることが多くなっています。当然、見つかれば精密検査や治療の適応となります。
●くも膜下出血、脳動脈瘤:脳の血管にコブ(血管が風船みたいに膨らんでしまう)ができた状態を “脳動脈瘤”、それが破れて脳の表面(脳の表面と脳を覆う硬い膜の間=くも膜下腔)に血液が流れ出したものをくも膜下出血といいます。くも膜下出血の時には、突然の激しい頭痛、嘔吐が特徴。極めて緊急性の高い緊急疾患のひとつで脳神経外科の専門疾患です。
●解離性脳動脈瘤:くも膜下出血と症状は似ていますが、脳の検査で出血がない場合に精密検査で見つかることがある。若い人の脳梗塞の原因のひとつ。
2.感染性疾患
●髄膜炎:脳の周りの脳脊髄膜にウイルスや細菌が入り込んで起こる疾患。風邪のような症状で始まり、徐々に高熱に激しい頭痛が加わってきます。
●脳炎:脳の中にまでウイルスや細菌が進入してきてしまった場合に起こる疾患で、髄膜炎と同じように始まり、徐々に意識障害が出現する重大な疾患。後遺症が残ってしまうこともあります。
3.変性疾患
●アルツハイマー型認知症、血管性認知症など:いろいろな病気や年をとることで脳細胞が壊れたり、減ってきて①正常に物事を考えられない、②物忘れがひどくなる、③判断力や計算ができない などの症状が出現します。現代ではアルツハイマー病>血管性認知症の割合です。尚、認知症性疾患の中の一部には治る疾患もあります。
●脊髄小脳変性症と関連疾患:徐々にふらつき、歩行障害、言語障害、動きにくさなどが出現する疾患。小脳や脳幹部(脳から脊髄へ続く重要な部分)の細胞が萎縮(壊れて)して起こる疾患。病気のタイプによっても症状の進行のスピードは違いますが、徐々に進行してきます。時には遺伝性のものもあります。神経難病のひとつ。
●パーキンソン病と関連疾患:ふるえ(振戦)、動きにくさ(無動)、手足の関節が硬くなる(固縮)が主な症状で、中高年以上に多く発症し、徐々に動きにくくなり歩きにくくなってくる病気。きちんと診断ができれば、最近ではどんどん治療薬が開発されています。神経難病のひとつ。
●筋萎縮性側索硬化症と関連疾患:運動神経が徐々に変性(壊れて)していくことによって、徐々に言語障害や手足の麻痺が進行する難病。
●本態性振戦:お年をとると段々手がふるえる方が出てきます。振るえだけの症状で上記のパーキンソン病とは別の疾患です。日本人では10人に1人は手がふるえると言われています。難病ではありません。
4.末梢神経障害
●糖尿病による手足のしびれ・・・きちんと糖尿病の治療は受けましょう。
●ウイルスや細菌感染に伴う、もしくは感染後に起こる自己免疫(異常免疫反応)でおこる手足の痺れや麻痺。
●ビタミン欠乏やミネラル不足、栄養障害でおこる手足のしびれや麻痺。脚気や塩分・カリウム低下によっておこる疾患などが有名。
●寝ているときなど手足をずっと圧迫していて起こってしまうもの。
●顔面神経麻痺(ベル麻痺)
5.筋疾患
●筋ジストロフィーと関連疾患。
●ホルモン異常に伴う筋肉痛や麻痺。
●こむら返りやその関連疾患。
6.その他
●頭痛を伴う疾患:片頭痛、緊張型頭痛、その他の頭痛。
●てんかん:脳の中の電気の流れに異常があり、痙攣を起こしたり、一時的に意識がなくなってボーっとしたり、記憶が飛んだりする疾患。
※神経疾患についてさらに詳しくお知りになりたい方は、日本神経学会のHPへ

ただ、ここでひとこと言わせて頂きたいのは、“健康管理は自己管理が原則である” と言うことです。 ただ闇雲に病気を怖がって検査を受けて、異常がなかったら“ああよかった!”ではなく、どうしてそのような紛らわしい症状が出てしまったのか、日常生活や生活習慣に改善の余地はないのか? お酒は? タバコは? 十分な水分や食事、睡眠や運動はおこなえているか? “そんな時間はない!”と言ってしまえばそれまでですが、自分の体は自分のものでであり、代わりのないものですからね・・・
そして、どういう症状のときに特には注意して、それ以外の“様子を見ていても大丈夫な症状”とはどういうものか? などを学んでいただくこと!が自分の身を守るため!というか健康でいるためにとても大切だと思っています。
薬や漢方で体質改善している?・・・そんな簡単な問題ではありません。“漢方で体質改善”なんて過大広告以外のなにものでもありません。“漢方は生薬だから体に優しい!”(- -)・・・副作用のない薬はありません。胃薬ですら副作用が出る事だってあるのですから! “体質を改善”するには、自分の体についてよく知り体調管理をしていくことや、体に悪いと思うこと(生活習慣病の要因)は避けていくことなどの“生活環境改善”がまず第一、あとは車が車検を受けるように定期的な健康診断やドックなどを受けて、病気がおこっても早期発見・早期治療でダメージを最小限に抑えることです。
日々の血圧測定や定期健診をきちんと受けるなど、できることから始めていきませんか?
昨今、テレビなどでは“たけしの本当に怖い・・・”とか、みのもんたの番組とか・・・視聴者の関心を引きたいがために、症状や病気をあからさまに大げさに取り上げる番組が、出回っていることに、ある意味心を痛めてます。
医療系のテレビドラマの多くは嫌いです(+ +)・・・非現実過ぎますから・・・。 “ER”だけはリアルでしたね!リアルすぎて、自分もその中に入り込んだ気持ちになって、せっかく自宅に帰って体を休めながらテレビを見ているのに、寛げなかったのを覚えています(^ ^;
様々な病気や、いろいろな症状の恐怖!を放送していますが、実際に皆さんが経験する症状の90%以上は問題のない、つまり気にすることのない程度の症状であり、本当に心配しなくてはいけない症状は6-7%程度、緊急を要する症状は2-3%程度ではないでしょうか?
今はテレビやインターネット、各種雑誌などで多くの情報が出回っており、混乱される方も多いと思います(+ +)。そのような情報をどんどん得たうえで、きちんと理解し咀嚼して、自分自身の知識として高めていくことが、身を守る上では欠かせないことなのかもしれません。
最後に、60-70歳代は一番いろいろな病気が起こりやすい時期です(+ +)。そうなる前に、1-2年に1度の検診やドックは受けてください。車にも車検や点検があるように・・・
ちなみに、“心配だから” とか“念のために”・・・などの理由では医療保険の適応になりませんから、外来での検査はできません!そう言う時こそ、検診やドックを申し込みんで、頭の天っぺんから足の先まで、徹底的に自分の体の点検を受けてみてください!(^ ^)













